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矢内原忠雄『戦時評論集』を読み返した時間

明日、北朝鮮の威嚇か博打かは分からぬが
ミサイル発射があるかもしれないとの報に触れ
勤務先からの帰りのバス車中で、いつも鞄に入れている
矢内原忠雄『戦時評論集』を読み返した。

軍国主義、国家神道が全盛だった当時、
キリスト教に対する反感、嫌悪が自分が筆を取るたびに
何百倍にもなって襲い掛かってくることを
矢内原は重々自覚していたであろう。
単なる言葉の上での批判、中傷、
矢内原の受けた苦しみはそんな生優しいものではなく、
その反感はついには東京帝大教授としての矢内原を直撃し
大学を放逐されるまでに至った。

矢内原自身が暗に述べていること、
「矢内原さん、こんなことを書けばキリスト教全体への反感を招きますから
もっと穏便に・・・」といった善意の、或いは脅しの言葉も数多寄せられたであろう。

しかし矢内原は旧約の預言者エレミヤの姿に己を重ね合わせ、
自らを聖書の御言葉で叱咤激励して書き続けた。
小賢しく立ち回るのではなく、真っ正直に
平和と祖国、隣人、そして何より神への愛を語り続けた。
或る時には悲憤の言葉を発し、或る時には暗涙に咽んだ。

明日以降、どうなるかは分からない。
今日と同じ淡々とした日々がこれからも何事もなかったかのように続くかもしれないし、
或いは東アジアに住む諸国の人々の人生が激変するかもしれない。

そんな中にあってこのような先人を知ることができたことを心底幸福に思う。

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歴史・宗教」カテゴリの記事

コメント

初めまして。「矢内原忠雄」と検索をかけたら、こちらのブログに行き着きました。
去年、矢内原忠雄氏について知り、今氏の全集を読み進めていますが、氏の言葉が今にもそのまま通用するというのか、深い洞察に感銘を受けています。
矢内原氏の言葉を今のこの時期だからこそ、一人でも多くの人に聞いて欲しいなって思います。

愛希穂さん、はじめまして。こんばんは。
この「享安堂」にコメントを寄せてくださりありがとうございます。

私が矢内原先生の存在に触れたのは、尊敬する内村鑑三先生の弟子の一人としてでした。最初は名前だけ知っていたのですが、京都の古本市で『矢内原忠雄全集』が私でも購入可能な価格で販売されていて、それをきっかけに著作を読みふけるようになりました。先ほども外出先で『イザヤ書講義』を少しばかり読みすすめてから帰宅したところです。官憲の抑圧の中全身全霊を懸けて語られた言葉は本当に胸をうちますね。

私は内村先生と鋭く対立した植村正久牧師の流れをくむ日本キリスト教会の者ですが、内村、矢内原両先生へは心から敬意を抱いております(それだけに教会の先人・植村牧師が対立したことを本当に残念に思うのですが。)

平和の尊さや民主主義の大切さを訴えると却って嘲笑されることもあるこの今だからこそ、矢内原忠雄という先人の著作はもっともっと顧みられて良いと思います。そして、深い洞察と本人の真剣さが込められた文章は、数十年の時を経ても色褪せないのだな、と毎日のようにかみしめております。

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