最近のトラックバック

« 小田菜摘さん作・椎名咲月さん画『そして花嫁は恋を知る 想いは砂色の聖地に集う』(集英社コバルト文庫)が発売です | トップページ | 知友の御祖母が亡くなって思う »

過去との向き合いについて 

小田菜摘さんの『花嫁の選択』シリーズの感想めいたもので触れましたが
私がモンゴル帝国が嫌いなのは
侵略戦争、大量虐殺、集団強姦への強烈な嫌悪感と
それに対する彼らの自責の念が絶望的なまでに
無いらしいことが原因だと自分で分析しています。
それは、我国が過去に行った諸々の戦争・事変についても
当然あてはめられるべきことです。
但し、それは私たちが現在の諸外国に対して卑屈になることを意味しません。
あくまで当時の加害者が当時の被害者に対するものでなければなりません。
当時を生きていなかった人が為し得ること、
それは「先祖と同じことは決して二度と行わない」です。

現代のモンゴルでは遠くから望むことのできる
チンギス・ハーンの巨大な銅像が建てられており
国賓が来訪した時には献花するのが慣わしのようです。

我国の皇太子殿下が訪問された際にも
殿下は恭しく巨大な銅像に低頭されていました。
それ自体は外交上の儀礼だとしても
以前書いた、昔の陳舜臣さんの言葉、
「チンギス・ハーンは決してモンゴルの誇りではありません」が
何度も頭によぎります。
誰を英雄視しようがそれは当の民族の自由ですが。

チンギス・ハーンが英雄視されていることへの違和感には別に理由があります。
小田さんも触れておられたチンギスの後裔「黄金氏族」は
当のモンゴル国内では20世紀前半の社会主義革命で
殆どが虐殺されてしまっています。
私の嫌悪して已まない皆殺しです。
今のモンゴルはそのことへの真摯な反省をしているのでしょうか?
ロシアはニコライ2世皇帝一家をサンクト・ペテルブルクの
旧皇室陵墓のある教会に再埋葬し、当時のエリツィン大統領は
皇室の抹殺を行ったソヴィエト国家の非を認めた上、
皇帝一家惨殺の場イパーチェフ館の破壊を
自分が命じたことを公式に謝罪しました。
皇帝の棺に最敬礼するエリツィン大統領の姿は目に焼きついています。

第一次世界大戦後相次いだ諸国の皇室の滅亡に際して
賀川豊彦は叫びました。

「凡て人間は生きていく権利があるのだ。
帝王だって生きて行きたい。ニコラス(ロシア皇帝ニコライ2世)も
赦してやれ、カイゼル(ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世)も、
・・・皆赦してやれ。我等に帝王を―否人間を
死刑に処する権利は無いのだ。」と。(賀川豊彦『労働者崇拝論』)

皇帝から一庶民まで、非道にも抹殺された命は
何らかの形で贖われなければなりません。
それを怠って過去の「栄光」だけを称揚しても意味はないでしょう。
(私はモンゴル帝国のことをモンゴル民族の「栄光」だとは思いませんが。)

ロマノフ皇室の大半の人々を虐殺した旧ソ連が
その先祖であるピョートル大帝を称えたようなことは
私にすれば醜悪でしかありません。

« 小田菜摘さん作・椎名咲月さん画『そして花嫁は恋を知る 想いは砂色の聖地に集う』(集英社コバルト文庫)が発売です | トップページ | 知友の御祖母が亡くなって思う »

歴史・宗教」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 過去との向き合いについて :

« 小田菜摘さん作・椎名咲月さん画『そして花嫁は恋を知る 想いは砂色の聖地に集う』(集英社コバルト文庫)が発売です | トップページ | 知友の御祖母が亡くなって思う »

2020年7月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ