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アレクサンドル2世皇帝、エドワード7世国王と革命家クロポトキン

先週の木曜日に古本市に行き、英国の歴史家カーの随筆を手にした時
なかなか示唆に富む話を知った。

英国で国王エドワード7世がとある催しで御言葉を述べた際
亡命中のロシア人革命家クロポトキンがその場にいた。
ロシア貴族の出身で、皇帝アレクサンドル2世に少年侍従として
お仕えしたという革命家にしては極めて珍しい経歴を持つ人物である。
皆起立して御言葉に聞き入る中、無政府主義革命家クロポトキンは座ったまま。
その非礼に列席者一同はらはらしていると、
国王からクロポトキンに「今の私のスピーチをどう思いましたか?」と。
帝王の度量に皆感じ入り、クロポトキンはひどくばつの悪い思いをしたとか。

このクロポトキン、「旧主」であるアレクサンドル2世皇帝について
現実にテロに遭った時には比類ない勇気を示したのに
何もない安全な場所では不安と妄想に怯えていたと記している。
宮廷生活で猜疑と不安に苛まれつつも、
いざという時には雄雄しく立ち向かった皇帝の姿が
そこにはある。

革命家クロポトキンはその長い人生で、人間の価値は所属する階級ではない、
王侯貴族でも平民労働者でも、立派な人は立派な人であり
下らぬ人間は下らないものだと気付いていたであろう。
現にマリア皇后についてはその優しさと思い遣りを無条件で賞賛している。

私は強者が弱者を蔑む格差社会を是とするものではない。
しかし、社会的に恵まれた者が即不正義であり、貧しい者は即正しいか、
そうでないとしても強者によって欺瞞されている、
奴隷根性を植え付けられているというのは
余りにも皮相な人間観である。

結局は個々の人間とじかに付き合ってその人間性を見極めていくしかないのだ。

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